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Interior Director Voice

快適な空間、愉快な時間

 佐島倶楽部は、カヌーやヨットを楽しむ人々から海のランドマークとしても数えられる、特徴ある建築です。リズム感を作り出す螺旋階段を中心とした中空構造は海からもよく見えます。魅力的な多目的スペースとなるために行う今回の全面リノベーションでは、このモダン建築の良き味わいを継承しながらどのように現代的なアレンジを加えたらよいか。この答えをみつけることが鍵になると考えました。

 まず、考えたのは自然を生かすことでした。佐島倶楽部の屋外には、自然の生み出すアーティスティックな景色が広がっています。眼下に波打つ海、富士山の遠景、神秘的に浮かぶ笠島、美しい空色からバラ色に染まる空。この美しい自然を存分に味わうためには内と外がナチュラルにつながるイメージを大切にしたい。そこで自然の4元素である『火、水、土、空気』をテーマにしました。たとえば、床のタイルやカーペットは海辺のサンドベージュに。壁面は早朝の空を思わせるスカイブルーに。またラウンジには暖炉を置いて…。このテーマを家具から食器、カトラリーに至るまで何度もリフレインすることで、ゲストが自然の中に身を置く感覚を持つことができれば、きっと愉快な時間への鍵が開くと思ったのです。

 ここに集う人々の気持ちの動きも重要な鍵でした。来客は期待感に包まれながら建物へと入っていくものです。そこで玄関ホールはアートギャラリーのように緊張感のある雰囲気で、螺旋階段を登るにつれてバンケットルームへと高揚感が広がっていくように照明の光や壁面の色であと押しをしました。さらに上ると3階には、5室だけのエクスクルーシブな客室があります。ゲストルームは生活の場でもあるので、ほっと温かい気持ちになるインティメイトな室内にしてあります。

 こうして書ききれないほどいくつもの鍵で扉をあけながら、たくさんの要素を折りたたみ、絞りこみ、多くの人々と佐島倶楽部を作り上げていきました。そうして、多用途の集客施設としての機能性を備えながらもさりげなくトレンドと呼応する、明るく居心地の良い空間ができあがりました。
 それではそろそろ、皆様に魔法の鍵をお渡しすることにいたしましょう。

黒田美津子(インテリアディレクター)

黒田美津子 / 黒田美津子事務所Laboratory
インテリアディレクター、スタイリスト、室内装飾家。

80年後半の『Hanako』誌(マガジンハウス)をはじめ、雑誌のデザイン記事を中心に多くの特集記事の編集、スタイリング、執筆にあたる。現在も渋谷区の事務所(アトリエ)をベースにグラツィア(講談社)、プレシャス(小学館)など各誌で活躍するほか、商業空間、展示会、イベント、ホテルなどさまざまなプロジェクトの空間デザインに取り組んでいる。佐島倶楽部の全面改装では、インテリアを中心にグラフィックからテーブルコーディネートまで、すべてのディレクション、デザインを担当。

佐島倶楽部
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